介護ビジネスのミシュランで3つ星をめざせ!
介護ビジネスのミシュランで3つ星をめざせ!
TVドラマ『グランメゾン東京』を覚えていますか?
2019年の秋、TBS系の日曜劇場の枠で放送された連続ドラマです。
東京で新しくオープンしたフレンチレストランが舞台で、主演の木村拓哉さんがミシュランの3つ星をめざすシェフの役を演じました。
ご存知の通り、元々フランスのタイヤメーカーであるミシュランは、フランスだけでなく、世界各国でレストランやホテルを格付けしたガイドブックを発行してきました。
格付けは星の数で表されており、星をひとつでも獲得できれば、レストランやシェフたちにとって大きな勲章となります。
星を獲得したレストランでは、予約がとれなくなったり、店の前に行列ができたりして、店の信用だけでなく、集客や売上にまで大きく影響するようになっているほどです。
介護保険事業を経営している者にとって、集客や売上のアップは常に課題となってきます。
真っ先に頭に浮かぶのはやはり広告です。
もちろん、その集客効果はあります。
しかし、広告はあくまで広告する側の都合が優先されますから、決して公正中立というものではありません。
ところが、ミシュランには評価される側の意見や影響はまったく及びません。
つまり、公平中立な立場から客観的な評価が下されます。
それが、ミシュランの信頼度を高め、今や神格化されているといっても過言ではありません。まさに、レストランガイドとして絶対的な存在となっているのです。
よって、ミシュランに評価されることは何よりの広告になります。
「介護の分野にもミシュランのような評価制度があればいいのになぁ」と思う人もいるでしょう。
実は・・・、あります。
それが『介護サービス情報公表制度」と『福祉サービス第三者評価事業』です。
残念ながら、今のところ、全国的な評価基準や評価機関はありません。
都道府県がそれぞれの基準を作り評価を行なっています。
以下はあくまで東京都の例です。
まず、介護施設や社会福祉施設などの評価を行なうことは、政府としても法令で定められているということもあり、これまで積極的に勧めてきました。
その理由は、介護サービスの質を評価し、できるだけその差が事業所によって広がらないようにするためであり、また、全体の質を向上させるためでもあります。
行政は介護施設などに対して「監査」「指導」を行なっています。
これは行政が直接行なっているもので、「評価」は直接的には関与していません。
直接的に関与していないものの、評価活動の主体となっているのが公益財団法人東京都福祉保健財団内に設置された「東京都福祉サービス評価推進機構」です。
同機構は評価する機関を育成する役割を担っています。
よって、評価機関は同機構によって認証されなければなりません。
そして、その評価機関の中心はあくまで株式会社などの民間団体です。
東京都だけでもその数は100機関を超えていますが、東京都では独自の基準があり、それをもとに統一して評価しています。
ちなみに、民間の団体では、独自の基準で評価しているところもあり、有料老人ホーム協会が実施している評価制度が有名です。
第三者評価機関による介護施設の評価手順
では、実際の評価はどのように進められるのでしょうか?
ミシュランでは、知らず知らずの間に店を訪れて、料理の味だけでなく、店の雰囲気やスタッフの応対ぶりなどをチェックするといわれています。
店の側から評価を依頼するわけではありません。
ミシュランが勝手に評価するわけです。
一方、介護施設の評価の場合、施設側が評価を依頼しないかぎり、評価されることはありません。
どの評価機関に依頼するかは自由です。
ただし、その評価機関にコンサルをしてもらったことがある場合は、コンサル時から3年以内は評価の依頼はできません。
評価を依頼すると、調査を担当する人が評価機関からやってきます。
原則3人で、3回にわたって訪問するのが一般的です。
1回目は施設の職員に説明が行なわれ、同時に施設側には自己評価が求められます。
2回目に行なわれるのは訪問調査と自己評価の集計です。
訪問調査は、経営部門とサービスの実情や内容、サービスの実施状況の3つに分かれており、3人がそれぞれ分担して調査します。
そして、最後の3回目が結果報告です。
依頼から結果報告までは約3カ月程度かかります。
料金は、評価機関によって異なり、統一されていません。
調査を受けるにあたっては、市区町村からの補助金が利用できます。
補助金の額は運営するサービスによって異なりますが、60万円を限度に補助されます。
よって調査料金が60万円以下ならば、実質、介護保険事業者は負担なしで調査を受けられます。
福祉サービス第三者評価機関に相見積もりをとって、60万円以内で納まるところを選んでみてはどうでしょうか。
もちろん、評価機関にも良し悪しがありますが、それを比較検討して見きわめることは至難の業といえるでしょう。