外国人介護職員の雇用 生き残りのカギは人材確保と定着
外国人介護職員の雇用 生き残りのカギは人材確保と定着
介護事業を経営している人にはさまざまな悩みがあります。
誰もが口にするのはやはり人材不足です。
介護事業はどこも生き残りに必死になっています。
そして、そのカギを握っているのが人材の確保と定着なのです。
こんな話があります。ショートステイを利用していたあるおばあちゃんの話です。
このおばあちゃんはショートステイを嫌がっていました。もともと人見知りをするタイプで、施設の職員と楽しく過ごせるかとても不安だったのです。
ところが、とても感じのいい青年が担当となり、すっかりその施設を気に入りました。
あれほど嫌がっていたショートステイは、それ以降、楽しみになったのです。
1カ月で利用できる回数は限られていましたから、その日が来るのをいつも楽しみにしていました。
ある日のこと、施設に行くと、担当だった青年がいません。休みかと思って職員に尋ねてみたところ、「退職した」といいます。
おばあちゃんはがっかりして、それ以降、ショートステイに行くことを渋るようになりました。
介護職員の新陳代謝は激しく、短期間で退職する例は珍しくありません。
施設にとってこのおばあちゃんはいわば“お得意様”です。
職員の退職は“お得意様”の喪失につながりかねません。
さらに、もうひとつ大きなマイナスがあります。
介護保険で定められた介護サービスには法令で決められたサービスごとの人員の配置基準があり、職員の退職によって職員数が減ると、その配置基準が満たせなくなるところも出てくるわけです。
中でも、何の予告もなく退職されると、代わりの職員を用意する時間もありません。
多くの施設は人員基準をギリギリでクリアしており、常にこのようなリスクを抱えて運営していることになります。
さあ、たいへんです。
では、どうすれば、人材の確保と定着を実現することができるのでしょうか。
以前、「待機児童」という言葉が社会問題になりました。
結婚後も女性が働く時代となり、幼い子どもを預かってくれる保育所の数が少なく、入所を待つ子どもたちがそのように呼ばれました。
待機児童の解消のために政府や自治体も動き始めましたが、そのときに注目されたのが、保育士の資格をもっているものの、実際には保育士として働いていない人たちでした。
介護の分野にも同じような立場の人がいます。
それが潜在介護士です。
潜在介護士とは離職した介護士のことで、彼らを再び現場に呼び戻そうという取り組みが始まっています。
また、シニアの活用も有効な方法として注目され始めました。
元気でまだまだ働ける高齢者は数多くいます。
これらシニアを介護の現場で働いてもらおうというものです。
さらには、各種ロボットの導入も人手不足を補う方法として見逃せません。
しかし、ロボットはあくまで人間の仕事をサポートするためのものです。
ロボットは自立して介護の仕事ができるわけではありません。
もちろん、人員基準を満たす要因にもなりません。
そこでもっとも現実的な方法となるのが外国人です。
東京に住んでいる人にとって働く外国人はお馴染みかもしれません。
今や、コンビニやファミレス、居酒屋などで、外国人の店員を見かけることはごくごく普通のこととなりました。
明るく丁寧に応対しており、私などは一度も彼らの態度に不満を感じたことはありません。
もちろん、トラブルになったこともありません。
すでに介護の現場でも外国人が働いており、日本人と同じくらい、いや、それ以上の一生懸命さで取り組んでいます。
おじいちゃんやおばあちゃんからも人気があり、人手不足を補うという助っ人的な存在から施設の中心的な役割を担う存在へと成長している人もいるくらいです。
ただし、外国人を雇用する場合は、さまざまな約束事があります。
日本人が外国へ行っても、簡単には現地の仕事につけません。
現地の人の仕事を奪ってしまうことになるからです。
日本でも事情は変わりません。
でも、ルールをしっかり守れば、外国人を雇用することができます。
その方法は次回に。