希望する介護サービスが受けられなかったら
希望する介護サービスが受けられなかったら
経済的に余裕があれば、有料老人ホームに入居したいところですが、そうでなければ、そして、現実には多くの人が特別養護老人ホームへ入居しています。
いわゆる“特養”といわれているところです。
ところが、ここへ入居するには要介護度が3以上という決まりになっています。
しかも、人気があり、入居待ちをしている人も少なくありません。
そこで、要介護度の重い方を優先する傾向にあり、実際には要介護度が4か5でなければ入りにくいともいわれています。
規則ですから、要介護度1や2では入居できませんが、たとえ要介護度3であっても、断られることがあるのです。
要介護者の心身の状態は変化します。
重くなれば、要介護度は重くなりますし、その逆もあるわけです。
要介護度には有効期間があります。
原則は6カ月ですが、最短で3カ月、逆に36カ月の延長も可能です。
要介護度が重くなれば、入居しやすくなりますから、次の更新時を待つ人もいます。
しかし、更新時まで待てないという場合は、要介護度の区分変更を申請してみてはどうでしょうか。
この場合、更新を待たずに認定調査をしてもらえます。
なお、区分変更の申請をするときは、医師の意見書が必要です。
現在かかっている医師に頼んでもかまいませんが、できれば長年にわたってつきあいがあり、親の健康状態や病気の既往歴なども把握している主治医やホームドクターと呼べるような人に依頼するといいでしょう。
その際に現状、特に、認定の結果に不満をもっており、それでは希望の介護サービスが受けられないというあなたの希望をしっかり伝えてください。
もし、長年のつきあいのある医師ならば、あなたの気持ちを汲んでくれるでしょうし、あなたの意のあるところを察してもらえるはずです。
医師の意見書は認定の結果を左右するほど大きな影響力をもっています。
区分変更を申請するにあたって、まず相談するのはケアマネジャーや地域包括支援センターとなりますが、医師への依頼や交渉をケアマネジャーに任せることなく、できればあなた自身で医師のところへ出向いて直接依頼してください。
医師の意見書は介護認定審査会に提出され、そこで新たな要介護度が決まります。
ちなみに、区分変更の申請をすると、再度認定調査をすることになりますが、これは初回の認定調査と同じです。
市区町村の認定調査員が自宅などを訪問して本人やその家族への聞き取り調査を行ないます。
74項目からなる質問事項に答えていきますが、高齢になると、質問の内容が正しく理解できなかったり、勘違いをしたりすることもありますし、何より知らぬ間に認知症が始まっていることもあり、そうなれば、正当な結果が得られません。
自分は健康で介護の必要はないと考える高齢者もいて、質問とは正反対の答えをすることもあります。
再調査のときも、できればあなたがつき添ってあげて、答えるときにアシストしてあげてください。
また、不服の申し立てという方法があります。
これには審議が必要であり、少し時間がかかることを覚悟しなければなりません。
やはり区分変更の申請がもっとも現実的だと思います。