介護人材不足による介護難民の増加

介護人材不足による介護難民の増加

日本の介護における最大の問題点は、介護の現場で働く人材が不足していることです。

人材不足が解消されなければ、介護を受けたいときに満足な介護サービスを受けることができません。

ところが、みなさんが思っていることと、現実は少しばかり違います。

ここでは違った視点から介護人材不足を見ていきましょう。

日本における介護人材不足の状況

介護の現場での人材不足は、介護の業界に人が集まらないことが最大の理由だと考えている人も多いのではないでしょうか。

現実は少し違います。

実は、この5年間で就業人口が増えている職業は「老人福祉・介護事業」であることをご存知でしたか。

約40万人が「老人福祉・介護事業」に入ってきました。

そして、今後もこの業界への人材の流入は増え続け、野村総合研究所が発表している「未来発表2020」によると、2040年には産業別就業者数において医療・介護が卸売小売業を上まわり、製造業全体に匹敵するほど増加することが予測されています。

現在、大きな変化の中にあるのです。

それでも介護人材が不足している理由はいくつかあります。

まず1つ目は、介護需要に人材供給が追いついていないということです。

介護サービス事業所を新規開設した場合、サービスごとに厚生労働省令にて定められた有資格者の人材配置が必須であり、それに現実は追いついていません。

さらに、未だ組織と呼べるような条件が整っていない事業所が多いため、職員の定着率が低いこともあげられます。

これは、この業界の特徴でもあるといえるでしょう。

世界で始まりつつある介護人材争奪戦

厚労省では、2025年度までに日本国内における介護人材が55万人必要になると試算しました。

そのため政府は、特定技能の介護分野において、今後5年間で6万人の外国人の受け入れを見込んでいます。

実は、日本に先駆けて介護保険制度を導入したドイツも、日本と同様に介護人材不足に直面しており、すでに介護労働者の約1割は外国人で、主に欧州連合(EU)域内の東欧出身者に頼っているのです。

今や介護の労働力不足は高齢化の進む先進国では共通の課題になりつつあります。

中国を含む新興国で高齢化が進んでおり、今後は、介護人材の獲得競争が過熱していくと考えられているのです。

実際、筆者も中国にてフィリピン政府が自国の家政婦のPRを積極的にしている場面に何度も出合いました。

2017年時点においてG20各国では高齢者1人に対して15~64歳の就労世代が6人以上いる計算ですが、2050年には高齢者1人に対して就労世代は3人に減ると推計されています。

経済協力開発機構(OECD)の報告書によると、OECD加盟国の平均では介護職員の20%を外国人が占め、もっとも活用が進むカナダでは34%に達しているほどです。

私たちは、特にアジアにおいて介護人材争奪戦に入っていることを予測しなければなりません。

また、そのような時期に来ています。

日本に定着してもらうための施策を官民あげて推進していかなくては、日本は外国人に選ばれない国になるということです。

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