介護サービスの料金はどのようにして決められるのか?
介護サービスの料金はどのようにして決められるのか?
日本が世界一の長寿国といわれていますが、医療レベルの高さはいうまでもなく、やはり国民皆保険制度の存在を無視することはできません。
事実、世界保健機関(WHO)は日本の国民皆保険制度を世界最高と評価しています。
国民皆保険制度は1961年から実施されました。
それまでは国民の約3分の1が無保険状態でしたが、これによって、日本人は誰もが比較的安価で医療を受けられるようになったのです。
病気の治療は、なにより「早期発見、早期治療」につきます。
「病院がお年寄りのサロンのようになっている」との批判がありますが、高齢者が気軽に受診できる環境が長寿社会を支えているといってもいいでしょう。
アメリカは世界でもっとも豊かな国といわれていますが、国民皆保険制度が徹底されていないため、無保険の人も多く、WHOが発表した2020年版世界保健統計によると、世界で34位となっています。
世界一は日本で84.2歳。
アメリカのそれは78.6歳です。
介護保険制度も基本的な精神は国民皆保険制度と変わりません。
介護保険が適用される介護サービスは、利用料金に差はあるものの、全国どこの地域で受けても1割もしくは2割の負担ですみます。
料金の差も大きく出ることはありません。
比較的安価なため、料金が高すぎることもなく、低所得だからといって利用を諦めるということはありません。
では、どのようにして料金は決められているのでしょうか?
料金を算定するときは、単位が基本となっています。
一般的に1単位は10円です。
1回のサービスごとに決められているので、例えば、利用料金が1200円ならば、120単位となります。
ただし、1単位の額は市町村やサービスの種類によって若干異なり、全国一律ではありません。
利用者である要介護者は、この額の1割を負担しますから、介護事業者は1割分を利用者に請求し、残りの9割は国民健康保険団体連合会(国保連)へ請求するわけです。
ちなみに、国民健康保険団体連合会とは、介護保険や健康保険の保険者である市町村が共同で設立した公法人で、各都道府県に設置されており、審査支払業務をはじめとして多岐にわたる事業を行なっています。
1単位の額が市町村によって異なると述べましたが、それは、地域によって住民の賃金に差があるからです。
そのため各地域は「1等地」から「7等地」、そして「その他」と8つの地域に分けられています。
ちなみに、1単位を10円としているのは、「その他」の地域です。平均賃金がもっとも高い東京23区は「1等地」となっています。
例えば、身体介護利用料でいえば、1単位が11.4円になるので、2827円となり、自己負担額は282円です。
「その他」の地域に住んでいる人が支払う額よりも34円高くなります。
東京は物価や家賃などが高いことでも知られていますが、利用者が支払う介護料金も高いといえるわけです。
では、実質的には誰が料金を決めているのでしょうか?
介護保険制度を維持するには、保険料だけでは足らず、財源に税金が投入されていることから、最終的に料金を決めているのは国といっていいでしょう。
正しくは、厚生労働大臣の諮問機関であり、厚労省内に設置された審議会の一つである社会保障審議会の答申を受けて決定されています。