とんでもない本部もある?
とんでもない本部もある?
フランチャイズに加盟する上で、本部にばかり頼りきってはいけないという典型的な例を今回はご紹介しましょう。
独立開業ブームが起きたのは1990年代でした。
そしてFC(フランチャイズチェーン)展開する企業も数多く現れました。
そのひとつにあるビデオショップがありました。
その本部では、加盟店にビデオを卸しており、加盟店は本部から仕入れたビデオを販売するという形態をとっていたのです。
確かに、この方法ならば、ビデオを店内に並べて販売するだけでよかったのですが、ビデオショップといっても、売上の多くをアダルトビデオが占めていました。
当時も毎月相当数の新作が世に出ていました。
当時はAV女優と呼ばれていましたが、そのAV女優の中にも、当たり前といえば、当たり前のことですが、人気のある女優もいれば、無名の女優もいました。
有名になった女優は、テレビにも進出し、その後、テレビのバラエティ番組に引っ張りだこになる人もいたほどです。
こうした人気女優の出演するビデオの売上は自然と上がりますが、そうでなければいっこうに売れません。
店にはビデオ、つまり商品を置くスペースは限られていますから、いつまでも売れない作品を置いておくわけにはいきません。
売れない作品しか置いていないと、店の売上にも大きく影響してしまいます。
人気のある女優は誰か、人気のある作品の傾向は何かなどを、いち早く捉えて、そういった作品を並べることが売上アップのカギとなるわけです。
ところが、このフランチャイズチェーンのビジネスモデルは、作品のすべては本部から仕入れることとなっていました。
店内に並べる作品を選ぶ権利は加盟店にはなく、本部にありました。
そして、この本部の起こした問題点は、売れないであろうとわかっていた作品を加盟店に流したのです。
理由として、人気作品はなかなか手に入らないということがあったのでしょう。
でも、本部は商品を加盟店に卸して、つまり販売して儲けを出しているわけですから、商品を探してきて加盟店に売らなければなりません。
売れない作品を買わされた加盟店は、売れずに在庫を抱えることになり、加盟店から本部へ抗議が相次ぐ事態となりました。
結局、その本部は倒産しましたが、最大の被害者はこのフランチャイズチェーンに参加した加盟店です。
本部が倒産した後も独自のビデオ販売店として営業を続ける元加盟店もありましたが、人気の作品を仕入れることがビデオ販売店にとって最重要課題であることは言うまでもありません。
自らの力で人気商品を仕入れることができない元加盟店は次々と潰れていきました。
フランチャイズを展開する本部の中には、こういったとんでもない本部も少なからずあります。
よって、本部選びがとても重要ということになるわけです。
当時、ビデオ販売といえば、このフランチャイズチェーンはもっとも有名な存在でした。
確かに、「有名」というキーワードは本部選びの際の重要な選択肢のひとつです。
しかし、それだけで本部を選んではいけません。
この手の加盟店と本部とのトラブルをはじめとして、それが発展した形の裁判は意外にも数多くあります。
その代表的な例については、またの機会に紹介しましょう。