新型コロナへの対抗策
新型コロナへの対抗策
介護事業者は要介護者である高齢者の「安心」「安全」「健康」を確保しなければなりません。
これは相手が新型コロナであっても同じです。
ただ恐れるのではなく、正しく恐れなければなりません。
それには何より新型コロナのことを知る必要があります。
新型コロナのパンデミックから1年が経ちましたが、研究者によると、ここへ来てようやくその姿が判明してきたようです。
まずウイルスですが、ひと口にウイルスといってもすべてのウイルスに感染力があるわけではありません。
HIVウイルスを例にとると、ウイルス100個に対して、実際に感染するウイルス、つまり感染性をもっているウイルスは1個ほどしかないといわれています。
しかも、ある程度の数のウイルスが集団で細胞の中に入らないと感染はしません。
以前、話題になったMERSコロナウイルスに至っては、10万個でようやく1個の細胞に感染するという報告もあります。
新型コロナウイルスも同じで、感染性をもつウイルスがかなりの数、集まらないと人には感染しません。
日本は世界でもっとも計算スピードが速いスーパーコンピューターを開発しました。名前は富岳です。
咳をしたとき、口からどのようにして水滴が広がるかを、富岳を使ってシミュレーションした画像がテレビで放送されていました。
これを見ると、咳をした人のまわりはかなりの数の水滴に覆われるのがわかります。
しかし、前述の理由から、微細な粒子を吸い込むことで感染する空気感染はほぼ起こりません。
もし、それがあるのなら、東京の場合、朝晩の満員の通勤電車でもっと感染が広がるはずです。
もう少し大きなしぶきを吸い込むことで感染する飛沫感染は、マスクをすることでこれも防げます。
咳をする人もそのまわりにいる人もお互いマスクをしていれば、より予防効果は高まるでしょう。
やはり気をつけなければならないのが、ウイルスを多量に含んだ唾液などに直接触れた手でものを食べたり、目などの粘膜に触れたりすることで感染する接触感染です。
“敵”の姿がわかってくると、対応策も決まります。
その中でも注目されるのが、宮沢孝幸先生(京都大学ウイルス・再生医科学研究所准教授)が提唱する「100分の1作戦」です。
1人の感染者が何人に感染させるかという数値である基本再生産数と、感染した人のウイルスの数は日がたつにつれて減っていくことを考慮すると、ウイルスの数をピーク時の100分の1に落とせば、まず感染はしないということになると宮沢先生は考えています。
手に100万個のウイルスが付いたとしましょう。
しかも、これらはすべて感染性をもつと仮定します。
これを100分の1にするには、水洗いするだけで十分です。
ノロウイルスを用いた実験ではすでに明らかになっています。
石鹸を使わずに、流水で15秒手を洗うだけで手には100分の1ほどしかウイルスは残りません。
もし、この手で食べ物をつかんで、それを食べたとしても、また、目をこすったとしても、感染する危険性はゼロに近くなります。
まとめておきましょう。
介護職員がやるべきことは、手洗いやうがい、できれば鼻うがいをしっかりと励行することです。
もちろん、施設の利用者にも徹底させます。
特に外部からウイルスは持ち込まれますから、来客者や利用者の家族などにも手洗いやうがいを徹底させるべきです。
トイレや手洗い場にはウイルスが飛び散っている危険性もありますから、消毒に努めたほうがいいでしょう。
ウイルス対策の商品は、新しい発想のものも次々と販売されています。
介護事業者にとって重宝される納入業者の特徴は、商品を販売するだけでなく定期的に介護職員向けに無料勉強会などを開催してくれる業者です。
商品を購入する際に、こうした付加価値を考慮してください。