第三者評価の現状
第三者評価の現状
認証を受けた第三者評価機関の数が都内だけで100カ所を超えることはすでにお伝えしました。
その中で、年間の評価件数の多い機関では、300件に及ぶところもあります。
では、実際のところはどうなのでしょうか。
介護事業経営者にとって、業界の動きは気になるところです。
今回は発表されている数字を見ていくことにしましょう。
以下は東京都福祉サービス評価推進機構の発表をもとにしています。
福祉サービス第三者評価は介護サービスだけでなく、保育や障害者事業、施設への評価も実施しており、これらの数字も含んでいることに注意してください。
まず、令和2年に評価を実施した件数は3560件です。
都内にある評価の対象となる事業所の数は2万6660カ所ありますから、実施率は13.4%となっています。
令和元年が13.7%、その前の年の平成30年が13.0%なので、実施率はこの2、3年はそれほどの変化はありません。
評価となる対象の事業所数は、平成30年が2万5034カ所、令和元年が2万6155カ所、そして令和2年が2万6660カ所と年々増えているので、実施率に大きな変化がないということは、評価実施件数もこの2年でわずかに増えていることになります。
ご承知の通り、福祉サービスを提供する事業者は、施設系と居宅系に分けられますが、評価の実施率でいえば、令和元年の場合、前者が30.9%、後者が8.3%となっており、施設のほうが前向きに評価を受けているといえるでしょう。
居宅サービスの場合、利用者の感想の対象は、主にサービスを提供する介護職員であり、そのサービスや応対の質によって利用者の感想も大きく異なり、どちらかといえば、利用者の声が参考になります。
施設サービスの場合、職員だけでなく、施設の設備面など、評価の対象も幅広くなりますから、事業者としても第三者に専門的でかつ客観的な評価を求めたくなるのかもしれません。
一方、評価機関は、令和年元で120機関あり、平成30年の113機関から増えており、その分、評価者の数も平成30年の1407人から令和元年では1488人へと増えています。
当たり前のことですが、評価機関の中では年間を通じた評価件数に差が出ています。
年間で21~50件の評価をしている機関がもっとも多く、34社ありました。
51件以上の評価を行なっている機関は24機関もあるものの、年間を通じて1件も評価を実施していない機関が4社もあります。
では、評価者の活動状況はどうでしょうか?
これも令和元年の数字ですが、年間を通じて実施した評価件数が2~5件という評価者がもっとも多く、458人となり、全体の32%となっています。
51件以上の評価を実施したという評価者は33人で全体の2%にすぎません。
逆に0件が216人、1件が291人もいました。
両者を合わせると全体の35%です。
ここしばらくの間、このような傾向に大きな変化はありません。
評価を受けた事業者の感想
東京福祉サービス評価推進機構では、一方的に評価するだけでなく、評価を受けた事業者にアンケートをとって、今後の評価の仕方や対応に生かしています。
まず満足度です。
「大変満足」「満足」「どちらかといえば満足」と回答した事業者は全体のおよそ93%に達しています。
回答した事業者の数は1421件ですが、もっとも満足度が高かったのは「サービスに関する知識」で946件した。(複数回答が許されています)
次いで、「客観性」の767件、「説明力」の764件、「分析力」の706件が続きます。
用意された選択肢の中でもっとも少なかったのが「財務に関する知識」で、この満足度が低いということは、事業者は評価者に対して税務に関するもっと的確なアドバイスを求めているのかもしれません。