保険外収入に活路をめざせ!
保険外収入に活路をめざせ!
「介護事業は儲からない」ということがいわれます。
本当でしょうか。
確かに、いわゆる3Kの職場を嫌ってか、なかなかいい人材が確保できない、ようやく見つかったとしても離職率が高い、職員の給料は低く抑えられているなど、さまざまネガティブな情報が飛びかっています。
ただし、介護の現場へのイメージと「儲からない」ということはリンクしません。
儲かっているところも少なくありません。
では、儲かっているところはどのような工夫をしているのでしょうか。
介護事業における収益は、介護保険収入と介護保険外収入に分けることができます。
要介護の高齢者が介護サービスを受けるとき、介護保険を利用するのが一般的です。
病気やケガをして病院で治療を受けるとき、健康保険を利用するのと何ら変わりません。
健康保険が利用できるからこそ、国民が等しく比較的安価な料金で医療が受けられるわけです。
これは日本が世界に誇れる国民皆保険制度であり、世界でも有数の長寿社会を実現させました。
介護の分野も同じように、介護保険制度のもとに比較的安価で安心して介護サービスが受けられるようになっています。
よって、介護サービスの料金も要介護度によって決められており、介護事業者は好き勝手に料金などを設定することはできません。
介護保険制度に則って事業を運営している限り、いわゆる「ぼろ儲け」はできません。
その結果、介護職員の給料は自然と抑制されるわけです。
逆にいえば、これらの経費を抑制することで、利益を上げようと事業者は四苦八苦することになります。
厚生労働省が発表した令和元年度介護事業経営概況調査結果によると、訪問介護における介護保険収入の割合はなんと98.8%にも及んでおり、保険外収入の割合は1.2%に過ぎません。
同様に、通所介護における介護保険収入の割合は93.5%、福祉用具貸与における保険外収入の割合が92.4%、介護老人福祉施設では78.7%となっています。
このような中、保険外収入の割合が介護保険収入を上まわっているのは、有料老人ホームをはじめとして、サービス付き高齢者向き住宅やケアハウス、養護老人ホームなどが含まれる特定施設のみです。
その割合は介護保険収入が45.9%、保険外収入が54.1%となっています。
有料老人ホームを例にとると、特別養護老人ホームなどと比較した場合、入居費などは高額になりがちです。
中には、高級ホテルのような内装や調度品、さらには高級レストランのような食事などを提供している有料老人ホームもオープンしており、最近になってその数は増えてきました。
もちろん、高級レストランで出されるような料理を施設内で頼んだとしても、介護保険は利用できません。
保険で補填されるわけもなく、全額を利用者が負担しなければなりません。
要介護の高齢者といえども、経済的に余裕のある人は多く、自らの希望と判断で利用しているのが現状です。
これらの食事やその他の保険適用外のサービスなら、事業者は自由に料金設定ができます。
そこで、利幅も自由に設定できますから、利益を上げようと思えば、事業者の能力次第となるわけです。
保険外サービスによる収入の割合が上記の調査結果によると、特定施設の場合、54.1%ですから、いかにこれらの施設では、介護保険に縛られないサービスを提供しているかがわかります。
経費をいかに削減することばかりを腐心してきた事業経営者のみなさん。
確かに経費の削減は重要です。
また、収益を上げるために努力していた事業経営者のみなさん。
収益を上げるには、利用者の数を増やさなければなりません。
ところが、施設が受け入れられる利用者の数は法律で決められています。
介護事業も一般の事業と同じで、利益率の高いサービスに力を入れるべきでしょう。
そして、それが保険外収入をもたらすサービスなのです。
事業経営者のみなさん。
「儲からない」といわれている介護事業ですが、保険外収入に活路を求めましょう。