現場の司令塔・ケアマネジャー
ケアマネジャー
介護サービスには、要介護者を相手に食事や排せつ、入浴などの世話をするだけなく、要介護者やその家族に対して相談を受けたり援助をしたりすることもあります。
それを担当するのが、一般的に「ケアマネ」と呼ばれるケアマネジャー(介護支援専門員)です。
いわば相談系の介護資格といっていいでしょう。
要介護者が介護サービスを受けようと思えば、市町村にまず申請し、介護認定を受けなければなりません。
そして、認定を受けたら、最初に相談するのがケアマネジャーです。
ケアマネジャーは、要介護者やその家族の要望を聞き、要望に応じた最適な介護サービス計画を提案します。
その“計画書”がケアプラン(介護計画)であり、介護サービスはこのケアプランに則って提供されなければなりません。
介護サービスを受けた後も、要介護者や家族、さらには、介護サービス事業者との連絡を欠かさず、ケアプラン通り介護サービスが実施されているかどうかを確認し、実施されていない場合は、業務を調整することもケアマネジャーの重要な仕事です。
要介護者自身の要介護度の変更や介護サービスを受けている事業所の変更を要介護者側が希望することも少なくありません。
その際には、要介護者やその家族、場合によっては介護者などを交えて話し合うことも必要になります。
それを担当者会議と呼びますが、その会議の中心になるのもケアマネジャーです。
一般的にケアマネジャーは、居宅介護支援事業所をはじめとして、特別養護老人ホームや老人保健施設などの介護施設に在職しています。
前者が「居宅ケアマネ」、後者が「施設ケアマネ」です。
その他、地域包括支援センターや市町村の福祉課、社会福祉協議会など、勤務先は多岐にわたります。
それだけ重要な仕事なわけです。
その分、資格を取得する際の難易度は高くなります。
また、簡単には受験もできません。
受験資格は、介護福祉士をはじめとして、社会福祉士や医師、看護師などの資格をもっているか、生活相談員や支援相談員などの業務に従事していて、その期間が通算5年以上で、かつ従事した日数が900日以上となっています。
ちなみに、要介護者やその家族の相談に乗ったり、他の施設などとの連絡、調整を行なったりするのが生活相談員です。
介護職員がケアワーカーと呼ばれるのに対して、生活相談員はソーシャルワーカーと呼ばれています。
生活相談員は資格ではないので、試験はありません。
社会福祉士などの資格をもっていることが条件となっていますが、都道府県によっては、2年以上の介護業務の実務経験があれば、認定される場合もあります。
同じ相談系の仕事ですが、介護老人保健施設(老健)における相談員が支援相談員です。
入所時や入所後の相談に応じていますが、老健は病院を退院後、自宅に戻るまでの一時期を過ごすための施設ですから、老健を退所した後の生活の支援が大きな務めとなっています。
つまり、在宅復帰のための支援をするわけです。
支援相談員も資格ではなく、認定の条件は生活相談員とほぼ同じと考えていいでしょう。
さて、ケアマネの試験は毎年1回、10月ごろに実施されてきました。
合格率も以前は20パーセントほどある年もありましたが、最近では10パーセントあまり、都道府県によっては10パーセントを割り込むところもあります。
つまり、難易度が増してきたのです。
ケアマネジャーは給料の面でも優遇されることは間違いありません。
昇進や転職にも有利です。
それ以外にも、食事や排せつ、入浴の支援といった直接介護の現場を離れ、介護の司令塔としてデスクワークが増えてきます。
よって、体力面の負担は軽減されるでしょう。
夜勤もほとんどありません。
仕事時間に関する自由度は高いといえるでしょう。