直接介護の最上位資格・介護福祉士
直接介護の最上位資格・介護福祉士
介護の資格においてスタート資格にあたるのが介護職員初任者研修、次のステップが介護職員実務者研修、最終的なゴールとはいえないものの、いちおうの目標となるのが介護福祉士であると述べました。
介護の仕事にはさまざまなものがありますが、要介護者を相手に食事や排せつ、入浴などの世話をしたり、要介護者や家族に介護技術などの指導や助言を行なったりする直接介護を行なう際に必要な資格として、介護福祉士は唯一の国家資格であり、この分野において最上位にある資格といっても過言ではありません。
よって、介護福祉士は、専門的な知識や技術を有し、高い質の介護サービスを提供する役目を負っています。
この資格の重要性や責任は高まるばかりで、それとともに資格取得へのハードルも上がりました。
以前は、介護の実務経験が3年以上あれば、その他の資格は問われませんでした。
ところが、平成28年(2016年)の改正によって、さまざまな受験資格が求められるようになりました。
介護福祉士は、外国との経済連携協定(EPA)によって外国人でも資格を取得することができるようになりましたが、ここでは日本人に絞って説明することにしましょう。
まず、実務経験が3年以上あり、450時間の介護職員実務者研修を受講、修了していることです。
もしくは、福祉系の高校を卒業していること。
一般の高校を卒業した人は、介護福祉士養成施設、つまり専門学校で専門教育を受けていなければなりません。
高校卒業後、福祉系大学などを卒業した場合、専門学校における受講期間は1年以上となり、高校卒業後、専門学校へ進学した場合は、専門学校での受講期間は2年以上となります。
この改正によって、いうまでもなく難易度は高くなりました。
試験は11科目群からなる筆記試験と介護に関する専門的技能をみる実技試験があり、受験資格によっては実技試験が免除される場合もあります。
難易度が高くなる分、資格取得によるメリットは、介護職員初任者研修や介護職員実務者研修とは比較になりません。
当然のことながら、給料や待遇はよくなります。
実際、2017年に政府は、勤続10年以上の介護福祉士を対象にして月額平均8万円相当の賃上げをする方針を決めました。
平均して8万円も賃上げする業界がこれまであったでしょうか。
介護業界にはとても大きなインパクトを与えました。
介護はもともと一家の主婦が担当していました。
それが核家族化や女性の社会進出に伴い、家族内で身内の介護をできる人がいなくなり、介護は職業となったのですが、今度は女性のパートのひとつと考えられるようになりました。
介護職の給与水準が低く設定されてきたのはそれも原因です。
そういった中でこのような新たなトレンドが出てきたことは、介護分野における人手不足の解消を政府も本気で考え始めたと証といえるかもしれません。
また、2010年10月からは介護職員等特定処遇改善加算が創設され、10パーセントに引き上げられた消費税の増税分の一部が予算として配分されています。
介護職員の待遇改善という点でおおいに期待されましたが、「8万円」という額だけが一人歩きした感は否めません。
給料の額を決めているのは各事業所ですし、その決定は各事業所に委ねられています。
実際には介護福祉士全員がそこまでの給料アップになっているわけではありません。
それでも、介護福祉士は事業所内で管理職に就くためには欠かせない資格ですし、介護分野で今後もより重用されることは確かです。
介護の現場で働くなら、ぜひともチャレンジしてください。