介護の制度ってどんなもの?
介護の制度ってどんなもの?
令和の時代になり、昭和は遠くなりましたが、そのころの日本はさまざまな面で現在と異なった状況にありました。
家族の形もそのひとつです。
昭和のころの日本の家族はいわゆる大家族でした。
一般的には、おじいちゃんとおばあちゃん、お父さんとお母さん、それに子どもたちがいて、3世代が同居していたのです。
おじいちゃんやおばあちゃんが要介護の状態になれば、その面倒をみるのはお母さんの役割でした。
ところが、結婚して親と同居することを好まない傾向になり、核家族化が進みました。
そこで家族が介護を担当するのではなく、社会全体で介護する形に移っていったのです。
1963年には、老人福祉法が制定され、介護が必要となったお年寄りのための施設が新登場します。
70年代になると、だんだんお年寄りの使う医療費が増え始め、ショートステイやデイサービスといった新たなサービスが始まりました。
そのうち、新たな問題が起こります。
それはお年寄りの寝たきりの問題です。
そこで、老人保健法を制定して老人保健施設が創設しました。
これは80年代のことです。
さらに、90年代になり、お年寄りの住む家にホームヘルパーが訪れて介護サービスを提供する老人訪問看護制度がスタートします。
同時に、需要の高まりから、ホームヘルパーの養成事業も始まりました。
ただし、これだけでは不十分でした。
まだまだ一家の主婦が介護を担当することが多く、日本全体をカバーできたわけではなかったのです。
そこで2000年になって、介護保険法が施行されます。
そして、介護保険制度がスタートしました。
この制度によって、それまでの不具合が解消されました。
何より制度が実施される前は、医療と福祉は分けて考えていたのです。
よって、これらが必要になったときは、それぞれ別々に申し込まなければなりませんでした。
また、介護サービスの内容を決定するのは、措置制度といって市町村でした。
しかも、民間企業は介護サービスに関わることができず、主に市町村や公共団体がサービスを提供していました。
介護や医療に関するサービスは、国民に対して平等に提供されなければなりません。
ところが、所得の低い方々よりも、どちらかといえば中高所得者に負担が重くのしかかっていたのです。
この制度の制定はそれを解消するといった目的もありました。
介護保険制度は始まって20年になりますが、何度となく改正されています。時代のニーズに対応するためです。
目立った改正となったのは2005年で、予防を重視する方針へと舵が切られました。
象徴的な決定として、要支援1と要支援2というランクが初めて設けられたのです。
「要支援」は、本格的に介護が必要となる(要介護)前の段階を意味します。
これによって予防給付が始まりました。
その後の大きな改正といえば、2010年があげられるでしょう。
ここで登場したのが「地域包括ケアシステム」という考え方です。
これによって、お年寄りの介護は地元が行なうという発想に変わりました。
看護小規模多機能型居宅介護が始まったのもこのころです。
その後も改正は続いています。
最近のトレンドは、「施設ではなく在宅で介護を行なう」となっており、それに伴い、介護の中心になるのも国から各地方自治体へとなっているのです。
この目的は、増大する社会保障費の削減に他なりません。
今後もこの傾向は続くものと思われます。