ウイルスをシャットアウトする!

ウイルスをシャットアウトする!

私は仕事柄、これまで数多くの介護施設を見てきました。

その中には、玄関に洗面所があり、まず手洗いをする。

次は、ウォーターサーバーから紙コップに水を入れてうがいをする。

そして、最後に靴の裏にアルコールを噴霧する。

こういった手順を済ませなければ中に入ることができない施設がありました。

訪れたときは冬ではなかったので、来客者は年中いつでもやるように決められていたのでしょう。

これは新型コロナが流行する数年前のことですが、「厳しいなぁ」と思ったものです。

でも、新型コロナの流行によって、私のこのような安易な考えは吹っ飛びました。

施設としては模範的な対応だったのです。

病院を見ればわかると思います。

新型コロナが流行る前から病院では院内感染をとても恐れていました。

特に院内感染を起こす病気としてあげられるのがインフルエンザです。

病院には入院患者がいます。高齢者も少なくありません。

高齢者はいうまでもなく、入院患者はたとえ若かったとしても病気によって免疫力が低下しています。

怪我によって入院していても、手術後ならば、免疫力は低下するのが一般的です。

主にウイルスや細菌が「感染」を引き起こしますが、これらの異物が体内に入ったとしてもそれだけで病気は発症しません。

私たちの体はこれら異物と戦う免疫細胞をもっているからです。

この免疫細胞の力を免疫力といい、それは加齢や病気、疲労、ストレスなどによって低下します。

もともと高齢者は免疫力が低いのです。

だから、若い人がかかっても1週間ほどで治るインフルエンザでも、場合によっては肺炎を起こして死亡する危険性もあります。

新型コロナも同じなのです。

病院は患者の命を守ることがもっとも重要な使命ですが、入院の理由とはまったく異なる別の病気で命を危険にさらすことになれば、病院にとってこれ以上の悲劇はありません。

院内感染で死者が出れば、ニュースにもなりますし、何より病院に対するイメージや評判は地に落ちることになります。

もし、入院患者がインフルエンザにかかれば、隔離病棟へ移動させる病院もありますし、ウイルスは外部から持ち込まれることが多いので、見舞客は家族だけに、面会時間は短時間に制限するところも出てきました。

置かれている状況は介護施設も病院と同じです。

しかも、介護施設の場合、入浴や排せつなどの身体介護において、高齢者と介護職員は密に接しなければなりません。

いったん感染者が出てしまうと、感染者の塊を意味するクラスターが発生する危険性があります。

すでにクラスターが発生した介護施設も出ており、マスコミでも報道されました。

高齢者がかかりやすい感染症には、インフルエンザや風邪をはじめとして、ノロウイルスなどによる感染性胃腸炎やMRSA、尿路感染症、結核などがあげられるでしょう。

すでに述べましたが、インフルエンザや風邪は悪化すると肺炎を起こします。

肺炎は高齢者にとって死に至る病気であり、これほど危険な病気はありません。

事実、日本人の死亡原因の第3位は肺炎なのですから。

新型コロナと生きる時代になって、介護施設は今まで以上にウイルスなどへの感染対策を講じなければならなくなりました。

事実、厚生労働省では、介護事業者に向けて「感染症対策の強化」を求めています。

要望だけでなく、“ご褒美”も用意されました。

介護事業者が感染防止委員会を設置したり、訓練や研修を実施したりすると、介護報酬が0.1パーセント増額されることになりました。

現在のところ、2021年9月末までの制度となっています。

これは、感染症が万が一発生したとしても事業を継続できるようにするためのものです。

ちなみに、より具体的な感染症対策については、厚生労働省が発表している「高齢者介護施設における感染対策マニュアル」を参考にしてください。

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