とにかく誰かに相談しよう!
とにかく誰かに相談しよう!
以前、たいへんやるせないニュースをテレビで見た記憶があります。
それは、ある中高年の姉妹が自宅のアパートで亡くなっているのが発見されたというものでした。
死因はなんと餓死でした。
豊かな国であるはずの日本で“餓死”という死因がとても印象的であり、かつ悲劇的でもありました。
なぜ、姉妹は餓死したのか?
私の記憶が定かでないのですが、確か仕事がなくなり、お金を稼ぐ術を失って、お金のないまま、食事をすることができなくなり、亡くなったようです。
姉妹のひとりは障害があり、働きに出ることはできず、親や他の兄弟、さらには親しい親戚もいなかったと聞きます。
それでも友人や知人はいなかったのだろうか。
もし、お金を借りられるような人がまわりにいなかったとしても、最悪の場合、生活保護という手段があるのでは、と思ったのですが、マスコミが追って取材をしたところ、どうやらその姉妹は生活保護という制度があることを知らなかったようなのです。
私が感じた「やるせなさ」には、餓死ということに加えて、生活保護を知らない人がいるということも起因していました。
この事件から「情弱」は命さえも奪いかねないということになります。
ご存知だとは思いますが、「情弱」とは情報弱者のことです。
情報源にアクセスする方法を知らなかったり、その情報を活用することができなかったりする人のことを指します。
介護に関する情弱は、人生にとって大きな損失になるといえるでしょう。
情弱にならないためには、自分自身で調べることですが、もっと簡単な方法があります。
詳しい人や情報ももっている人に相談することです。
介護の場合、それは地域包括支援センターになります。
政府は高齢化社会を支えるものとして重視しているのが“地域”なのです。
政府は、要介護状態となった高齢者ができるだけ住み慣れた地域で生活できるように推進しており、その考え方の根底に地域包括ケアシステムがあります。
その中核機関が地域包括支援センターで、2025年を目途に整備が進められているのです。
介護を考えるとき、最小単位になるのは市町村ですが、地域包括支援センターを運営しているのは地方自治体ではありません。
市町村などから委託された介護事業を営む法人や社会福祉法人、社会福祉協議会、医療法人、さらには民間企業やNPOなどによって運営されています。
これまで、要介護となった高齢者の相談先には、居宅介護支援事務所がありました。
この居宅介護支援事務所は、その名のとおり介護に関する相談を受け付けており、中でも、要介護認定を受けた高齢者に対してケアプランを作成する事業所として知られてきました。
要介護者が介護サービスを受けるための計画書であるケアプランを作成するのはケアマネジャーですから、居宅介護支援事務所には必ずケアマネジャーが常駐していました。
実際、介護サービスを受ける要介護者やその家族と向き合ってくれるのは担当のケアマネジャーとなります。
一方、地域包括支援センターは、高齢者のあらゆる相談に応じるところです。
地域包括支援センターには、ケアマネジャーをはじめとして、社会福祉士や保健師などが配置されており、介護だけでなく、医療や住まい、生活支援などの相談に応じていますから、これらのことで支援が必要なときは、迷わず気軽に連絡をしてください。