介護報酬ってナニ?
介護報酬ってナニ?
初めて介護サービスを利用しようとするとき、事前に概要を調べる人もいるでしょう。
その際に出てくる言葉に「介護報酬」があります。
介護には独特の用語が出てきますが、介護報酬という言葉を誤解している人も少なくありません。
要介護者が介護サービスを受けたときに、介護サービスを担当した人が利用者から支払われる料金を介護報酬というのではないかと思っている人もいるでしょう。
そうではなくて、介護サービスを提供している事業者が職員に支払う給料を介護報酬と考えている人もいるかもしれません。
残念ながら、どちらも間違いです。
介護サービスを利用者が受けた場合、利用者は介護サービスを提供した事業者に料金を支払わなければなりません。
原則として料金は、利用者が1割を負担し、残りの9割を市町村が負担することになっています。
事業者は利用者に請求し、利用者は1割分を事業者へ直接支払うのが一般的です。
残りの9割分を事業者は、介護保険の支払業務を行なっている国民健康保険団体連合会(国保連)に請求し、支払いを受けます。
これら利用者や国民健康保険団体連合会(国保連)から支払われるが介護報酬なのです。
介護報酬は、介護事業者に支払われるものであって、介護を担当した人に支払われる対価のことではありません。
一般的に介護報酬は、介護サービスごとに厚生労働大臣が決めた基準に則して設定されてきました。
各介護サービスにかかる費用と合わせて、各事業所や各施設と利用者の状況を考慮して加算、減算されますが、最終的には厚生労働大臣が社会保障審議会における介護給付費分科会の意見を聞いて決定することになっています。
介護保険制度は2000年に制定されましたが、それ以来、これまで何度も改正されており、中でも、時代や社会の状況に応じて介護報酬は3年ごとに改定されてきました。
少し数字ばかりが出てきますが、その経緯を紹介しておきましょう。
まず、2006年では2.4パーセント引き下げられ、逆に、2009年は3パーセント、2012年は1.2パーセントが引き上げらました。
これまで増減を繰り返しています。
2018年にも全体で0.54パーセント増額されました。
ここ数年は増額する傾向にありますが、介護職員の給料が安いこと、それに伴い、人材が集まらず、慢性的な人材不足に陥っていることが影響しています。
つまり、政府としても、介護報酬を引き上げることで介護職員の給料を少しでも増やし、人材不足の解消を目指しているのです。
2025年には団塊の世代が75歳以上になり、後期高齢者の人口増大は避けられません。
そこで、2018の改定では、お年寄り一人ひとりが、介護状態に応じたきめ細かい介護サービスを受けられるような体制を整備、推進することが目標としてあげられました。
そのためには、より質が高く、効率的な介護サービスを提供できるような体制を作らなければなりません。
そのカギを握っているのが介護報酬といっても過言ではありません。
これからも介護報酬は定期的に改正されるでしょう。
そのたびにニュースになるはずです。
介護報酬は介護事業者に支払われるものだから、私たちの生活には関係ないと思ってはいけません。
介護サービスを利用する側にとっても、決して無視できないことなのです。