介護保険制度を支えている財源は?
介護保険制度を支えている財源は?
日々生活していると、家庭ゴミが出ます。
それらは自治体が回収にきてくれますが、最近はゴミ袋が有料となり、ゴミを捨てるにも費用がかかるようになりました。
でも、きわめて安価であり、それほどの負担ではありません。
このように自治体が行なうゴミ回収などを住民サービスといいます。
なぜ、自治体はこのように安価で利用できる住民サービスを実施できるのでしょうか?
それはその自治体に住んでいる住民が住民税を払っているからです。
自治体は住民税などの税収をもとに予算を組み、その中からゴミの回収事業を行なっています。
介護保険制度もそれと同じです。
介護サービスはできるだけ安価で利用できるようにしないと、お金持ちはいいかもしれませんが、低所得者は簡単には利用できません。
安心して誰もが介護サービスを利用できるように、利用者である要介護者やその家族の負担を軽減するために、みんなでお金を出し合う制度が必要になったのです。
それが介護保険制度です。
介護保険制度は、高齢者の介護を社会全体で支えるために制定されました。
介護保険制度における登場人物は2人。
保険料を支払い、その代わり補償(保険金)を受けることができる被保険者と、保険事業の運営主体となる保険者から成り立っています。
一般的に保険者とは、保険料を徴収し、事故の発生の際に保険金を支払う者のことです。
介護保険制度では、全国各地の市町村や東京の23区を“保険者”と呼びます。
これらはいわゆる自治体であり、もちろん人物ではありません。
勘違いしないでください。
介護保険の場合、被保険者は65歳以上の人による第一号被保険者や40歳以上64歳までの人による第二号被保険者、保険者は全国の市町村や特別区である東京23区です。
介護保険制度には、さらに税金も投入されています。
被保険者が支払っている保険料では、介護保険制度を維持することはできません。
各都道府県や国がそれぞれお金を出し合ってまかなっているのです。
介護サービスを受けた場合、利用者である要介護者が負担するのは、原則として利用料金の一割で、残りの九割分は保険者である市町村が負担しなければなりません。
保険者が負担する分の財源は、第1号被保険者が支払う介護保険料と第2号被保険者が支払う介護保険料が50パーセント、残りの50パーセントが税金で構成されています。
保険者負担分の財源となる税金は、介護保険の運営者であり、保険者である市町村だけが負担するわけではありません。
市町村の負担割合は財源全体の12.5パーセント、国が20パーセント、都道府県が12.5パーセント、残りは調整交付金が5パーセント入っています。
調整交付金とは国が支給する交付金のことです。
これは、市町村ごとに被保険者の支払う介護保険料が異なるため、それを補正することを目的としています。
でも、よく考えてみてください。
介護サービスを受ける利用者は、利用料金の1割の負担でいいことはすでに述べました。
残りの9割は保険者が負担しているといいますが、負担分の半分を占めている介護保険料は被保険者が支払っているものであり、もう半分の税金も国民が支払っているものです。
つまり、介護サービスにかかった費用は、結局、国民が支払っていることになります。
タイトルにあった「介護保険制度を支えている財源は?」の答えは、「国民」なのです。