一般事業者の感覚を持て!

一般事業者の感覚を持て!

前回、介護事業は介護保険収入に頼り過ぎず、むしろ介護保険外収入に活路を求めるべきだと述べました。

その理由は、介護保険制度に縛られず、比較的自由に事業が行なえるからです。

料金も自由に設定できますし、利幅の大きなサービスも提供できます。

そのためには、従来の介護保険事業者は一般事業者と同じような経営感覚を持たなければなりません。

一般事業者の強みは何といっても消費者のニーズに基づいた商品やサービスを提供するマーケティング能力に長けていることです。

ところが、介護保険制度の中で事業を行なう場合、料金は一律に決められており、それに慣れ過ぎているために、利用者のニーズに応じた新しいサービスを企画しようとしません。

その結果、決められた枠を超えた革新的なサービスが出にくい状況にあります。

そのためか、決められたサービス以外のノウハウやスキルがいつまでたっても蓄積されないのです。

これは、個人や法人にとって大きなマイナスでしょう。

その反面、介護事業者にも強みはあります。

高齢者との接し方や扱い方に慣れていることです。

これは、介護保険外収入をめざすうえでも、高齢者を対象とした事業である限り、大きなメリットとなるでしょう。

ちなみに、一般事業者にも弱点はあります。

これまで高齢者やその家族とのつきあいがあったわけではありません。

高齢者との接点もあまりありません。

ニーズはもちろんのこと、情報や人脈はもっていません。

もし、商品やサービスを開発したとしても、それを高齢者やその家族に認知してもらう方法や、それを提供するための販路やチャンネルももっていません。

それらは一般的に整備されていないのも事実です。

一般事業者と同じ感覚をもって保険外収入をめざすといっても、まったく畑違いのビジネスにチャレンジするわけではありません。

やはりこれまで培ってきた高齢者に関するノウハウやスキル、チャンネルなどがあるはずですから、それを生かした事業をするべきです。

それは高齢者をターゲットにするなら、介護に関するものでも、それ以外のものでもかまいません。

介護保険の被保険者、つまり介護保険を利用できる人たちは第1号被保険者と第2号被保険者に分かれます。

前者は65歳以上の高齢者、後者は40歳以上、65歳未満の医療保険加入者です。

もちろん、両者とも要介護状態でなければなりません。

一般的に介護事業では、高齢者である第1号被保険者を対象としています。

厚生労働省が発表した平成30年度の介護保険事業状況報告では、第1号被保険者の数は約3525万人です。

その中で、実際に要介護(要支援を含む)認定を受けている人は658万人であり、全体の18.3%となっています。

介護保険収入を得るということは、この層の人たちをターゲットにしているわけです。

高齢者を市場と考えた場合、その18.3%の人たちを取り合っていることになります。

介護保険外収入を目指すことになれば、この層の人たちだけでなく、市場規模は、介護認定を受けていない残りの人たちに広がるのです。

その数は3525万人に及びます。

日本は超高齢化社会を迎えて、介護事業の市場規模は大きいといわれてきました。

ところが、まだまだそれは高齢者の一部でした。

これは介護保険制度に則って事業を行なってきたからです。

介護保険外収入の獲得を目的とすれば、介護保険に左右されることはありませんし、場合によっては介護に拘る必要もありません。

これまで介護事業を営んでいるわけですから、事業の対象者はあくまで高齢者ですが、新たな企画は介護ではなく、介護の周辺ビジネスであったり、介護とはまったく関係のないビジネスであったりしてもいいのではないでしょうか。

ただし、介護保険は利用できませんから、利用料金は利用者の全額負担となります。

低料金で、かつ高品質のサービスを開発しなければなりません。

それはまさに一般事業者のもつ使命といっても過言ではありません。

それにはやはり規制に守られている介護保険事業者から一般事業者に変身する必要があるでしょう。

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