3Kとは無縁の介護事務管理士
介護事務管理士
介護サービスを提供すれば、利用者である要介護者から1割、国民健康保険団体連合会(国保連)から9割の料金を受け取れます。
介護サービス事業者の主な収益減は、提供したサービスに対する介護報酬です。
その一部は利用者からは直接支払われますが、それ以外は国民健康保険団体連合会(国保連)を通じて支払われるので、国保連へ毎月請求しなければなりません。
この際に必要なのが介護給付費請求書と介護給付費明細書です。
ただし、専用ソフトを用いてデータ化する必要があります。
主に介護サービス事業所に勤務する事務職員がこの業務を担当しますが、まったく介護制度に関する知識のない人では務まりません。
介護事務には介護事務の専門家が必要になるわけです。
介護事務に関する資格はいくつもあります。
これらの資格はとりわけ介護制度に関する知識の有無が問われますが、すべて民間資格であり、国家資格ではありません。
その中の代表的な資格が介護事務管理士です。
介護業界でも高く評価されています。
この分野で資格を狙うのなら、断然介護事務管理士です。
今回は、介護事務管理士の概要について説明しましょう。
この資格に特別な受験資格は必要ありません。
誰でも受験可能です。
なんと年に6回も試験があります。
試験日は奇数月の第4土曜日です。
受験実施月の前月末までに申し込めば受験できますから、ひと通りの勉強が終われば、いつでもチャレンジできます。
試験は、実技と学科の2つに別れており、合わせて2時間です。
実技といっても直接介護をするわけではありません。
あくまで書類の作成です。
介護給付費明細書の作成と介護給付費明細書の点検があります。
書類の作成は合計で3枚、点検する書類は1枚です。
学科は、介護保険制度や介護報酬の請求についての知識をはじめとして、介護給付費単位数の算定や介護給付費明細書の作成、介護用語に関する知識が問われます。
合格基準は実技試験も学科試験も70パーセント以上です。
合格率は約60パーセントですから、それほど難しい試験ではありません。
毎月試験が実施されている通り、勉強時間も短期間でひと通り終えることができます。
この資格のメリットは、何といっても介護サービス事業者への就職に有利だということです。
介護保険が適用されている介護サービスを提供しているところならどこでも介護給付費明細書の請求業務は必要ですから、介護事務の専門家を求めています。
事務職なので、3Kといわれる介護現場に出ることはありませんし、要介護者と直接向かい合うこともありません。
基本はデスクワークですから、体力に不安のある中高年や女性などに向いています。
介護サービス事業者の中には、ケアマネジャーが介護報酬の請求業務を兼務しているところもありますが、彼らが多忙になれば、専門の介護事務職員を採用せざるを得ません。
ただし、経費削減を強いられている介護サービス事業所では、事務職員に介護現場をサポートさせている例もみられます。
つまり、介護事務管理士といえども、要介護者の排せつや食事、入浴などの支援をしているわけです。
求められているのは介護事務だと思って入ってみたら、実際には身体介護もあり、「こんなはずじゃなかった」と後悔することもあるといいます。
具体的な仕事内容を就職時に確認しておかないと、後で「言った」「言わない」のトラブルになりかねません。
ご注意のほどを。