外国人の雇用 入職までの流れ
外国人の雇用 入職までの流れ
いくら外国人を雇いたくても、明日からすぐに来てもらえるわけではありません。
いくつかのプロセスを踏んでいく必要があります。
結論からいえば、特定技能をもつ外国人の雇用を決めてから実際に外国人が施設で働き始めるまでには約6カ月から8カ月ほどの期間が必要です。
順を追ってみていくことにしましょう。
まずは人材紹介会社へコンタクトをとります。
介護施設を複数経営しているような大手の会社ならば、少々手間がかかっても、自社内で外国人を連れてくることはできますが、専門的な知識や経験が必要なことから、一般的な施設ならば、特定技能をもつ外国人雇用のすべてを取りまとめてくれる人材紹介会社を利用するといいでしょう。
とにかく相談に乗ってくれます。
外国人であっても求人の基本は相手を知ることです。
よって、面接をしなければなりません。
相手は当然、外国に住んでいます。
テレビ電話であれば、日本に居ながらにして面接することができますし、もし、時間と予算があるのなら、現地へ視察に行ってもかまいません。
外国人が特定技能の資格を得るには、日本へ来る前に日本語能力試験と介護日本語評価試験、介護技能評価試験の3種類の試験に合格することが条件となります。
日本語能力試験では、簡単な挨拶程度の日本語能力が求められるN4(4級)以上が必要です。
加えて、介護日本語評価試験では介護に関する言葉や会話の能力が、学科試験と実技試験から構成される介護技能評価試験では介護の基本的な能力が求められます。
これらの試験はそれほど難しくはありません。
フィリピンをはじめとして、カンボジアやネパール、インドネシアなどが実施していますが、合格率の差はあるものの、フィリピンの合格率は高く、75パーセントを超えています。
これは、フィリピンが当初から人材を送り込んでいることもあり、試験に慣れていること、また、フィリピンには独自の介護の資格もあること、家政婦さんなど、人材の“輸出”を国の重要な経済政策としていることなどが原因として考えられるでしょう。
ちなみに、海外でのこれらの試験は年間で6回も実施されています。
面接を終えて、採用したい人物が決まれば、その人は現地で試験に向けたトレーニングを始めるわけです。
試験に合格すれば、その合格証をもってビザ取得の手続きをしますが、これらも人材紹介会社が代行してくれます。
実際にビザがおりるには3カ月ほどかかるでしょう。
人材紹介会社にコンタクトしてからここまでで6カ月から8カ月ほどの時間が必要です。
では、この期間中、施設の側では何を準備すればいいのでしょうか。
せっかく外国から職員を採用するわけですから、途中で辞めてもらっては困ります。
特に、特定技能の場合、本人が希望すれば、転職することが可能です。
人材不足と定着のために外国人を雇用するわけですから、できるだけ長期にわたって働いてもらう必要があります。
法律では、最長5年間の勤務が可能ですから、それくらいは続けてもらいたいものです。
施設側の準備は、外国人職員が定着するための準備と考えてください。
定着するためには外国人が働きやすい職場を提供しなければなりません。
そのためには日本人職員の協力は欠かせません。
まず、施設の全職員に外国人を雇用することを通知することです。
そして、彼らの理解を得る必要があります。
とにかく受け入れの準備は早くから始めたほうがいいでしょう。
この機会に外国人雇用のノウハウを確立することです。
介護分野における人材不足は今後も続くと予想されます。
政府としてはそのための方策として特定技能をもつ外国人の受け入れに積極的です。
2人目、3人目の外国人を雇用するときに今回の経験がきっと役に立つはずです。
もし、やってきた外国人にやる気と能力があれば、ステップアップに協力してあげてください。
ステップアップすれば、施設としても大きな戦力を得ることになります。
ステップアップの方法として、日本語能力を高めて、介護福祉士の取得を目指すのもそのひとつです。
特定技能をもつ外国人は、日本へ来る前にトレーニングを受けていますが、日本で働きながら日本語や介護福祉士の資格の勉強をしてもかまいません。
もちろん、本人の自己負担でスクールに通うこともありますが、彼らのステップアップが施設としても大きなメリットとなるわけですから、授業料などを負担している施設も最近では見られるようになりました。