なぜ介護保険が必要なの?
なぜ介護保険が必要なの?
例えば、道を歩いていて転んで骨折をしたとしましょう。痛くて歩けません。
あなたならどうしますか?
救急車を呼ぶ人もいるでしょう。
でも、アメリカでは救急車を簡単に呼ぶ人は少ないといいます。
なぜでしょうか?
それは医療費がとても高いからです。
症状によっても異なるでしょうが、場合によっては治療費が100万円以上もかかることがあると聞きました。
救急車で病院へ搬送され、治療が終わって請求が来た時点で驚かされるということもあるようです。
アメリカでは日本のように国民皆保険制度がありません。つまり、国民の全員が医療保険に入っていないのです。
では、介護はどうでしょうか。
これまで大家族だった時代は、家族が、そして一家の主婦が主に介護を担当してきました。
これならほとんどお金がかかりません。
ところが、主婦などにかかる負担は大きなものです。
最近は、専業主婦も少なくなり、外へ出て働く女性が増えてきました。
仕事と家庭の両立に、さらには介護までとなると、とてもできることではありません。
介護も専門家に委ねることになったのです。
しかし、そうなると、介護サービスを受けるにも費用がかかります。
ここで保険制度がなければ、アメリカのように経済的な負担ははかりしれません。
また、保険の必要性を後押しした理由に、日本が迎えている超高齢化社会があります。
日本には誇れるものがいくつもありますが、中でも、日本人の長寿は有名です。
日本は世界一の長寿国といってもいいでしょう。
ところが、喜んでばかりはいられません。
ただ長生きすればいいのではなく、健康で長生きをしなければなりません。
高齢になってQRL(生活の質)が低下したり、寝たきりになったりしては、自立した生活ができないからです。
世界では、単に長生きする「平均寿命」よりも、健康で長生きする「健康寿命」を重要視するようになりました。
もし、平均寿命は長いものの、健康寿命が短ければ、その差の期間は自立できていない生活が続いていることになります。
寿命が延びる一方で、出生率は年々低下しています。
つまり、子どもや若い人たちが減り、高齢者ばかり増える社会、そう高齢化社会になってきたのです。
しかも日本は、高齢者の割合がとても高い超高齢化社会になることも否めません。
超高齢化社会を迎えるとともに、病気を抱えたり、寝たきりや認知症になったりする高齢者も増えています。
これらの人たちは介護を必要としているわけです。
医療が進歩したこともあり、介護が必要になったとしても長生きできるようになりました。
皮肉にも、これによって介護を必要とする期間が長くなりました。
もし、このような状況で長期にわたって介護サービスを利用することになると、どれほどの経済的負担になるでしょう。
それを高齢者だけに負担させるのはとても酷なことです。
国民が等しく負担し、高齢者が住みよい社会を実現するために、公的な介護保険制度は導入されました。
ただし、高齢者が置かれている環境や介護業界は日々変化しています。
介護保険制度とのズレが生じることも珍しくありません。
よって、介護保険制度はこれまで頻繁に改正されてきました。
法改正を知らずにいると、いわゆる情弱(情報弱者のこと)になってしまい、それは介護保険制度の利用者である高齢者やその家族にとって決してプラスには働きません。
介護保険を利用する側としては、法改正にも気を配る必要があります。
また、こういった情報力はケアマネジャーにも不可欠で、利用者がケアマネジャーを選ぶ際の大きな目安となるでしょう。