補助金申請に採択されやすい給食ビジネス

補助金申請に採択されやすい給食ビジネス

2020年に世界へと広がった新型コロナが世界経済に、そして日本経済にも大きな打撃を与え続けています。

日本政府としては、企業や個人に対してさまざまな支援策を打ち出してきました。

その中のひとつであり、上限額が6000万円にも及ぶとして中小企業の間でも注目されているのが、緊急事態宣言特別枠としての事業再構築補助金です。

数多くの申請が出される中、介護事業の分野では、給食・配食ビジネスとサロンビジネスの採択数が多いとの結果が出ました。

事業再構築補助金は、ポストコロナを見据えて、新分野展開や事業転換など、思いきった事業再構築に取り組む中小企業を応援する制度なので、採択数が多いということは、ビジネスとしての可能性があると政府が認めたとも考えられます。

そこで、今回から2回続けて給食・配食ビジネスとサロンビジネスの概要について紹介しましょう。

施設に入居している高齢者でも、ひとり暮らしの高齢者でも、日々、欠かすことができないのが食事です。

食事を、特に、弁当を施設や居宅に届けるのが給食・配食ビジネスであり、介護施設ですごす高齢者や食事を作ることが困難になった高齢者に幅広いニーズがあります。

政府の社会保障費は膨らむ一方で、高齢者の食事サービスにそれほど多くの予算を使えないという事情があり、この分野は民間主導で進めてほしいという政府の要望が、補助金の採択数の多さとして表れているといっていいでしょう。

つまり、この種の補助金は、今後、民間の力で伸ばしていきたいと政府が考えている分野に使われる傾向があります。

介護施設では、自家厨房をもっているところも少なくありません。

それもそのはず、これが意外にもリスクの“宝庫”なのです。

まず、自家厨房があれば、常に食中毒に気をつけなければなりません。

また、給食担当の職員が退職することもあり、そうなるとすぐに代わりが見つからないこともあります。

退職の理由は、やはり待遇面、特に給料の問題が多いようです。

その面から外国人の雇用を考えてもいいところですが、どうしても外国人となると、食器洗いや配膳など、調理補助が中心となり、調理ができる人はなかなかいません。

80種144作業ある技能実習制度を利用して外国人を受け入れることも考えられますが、食事にかかわる分野では弁当工場などに派遣される例が多く、介護施設において調理を担当している人などはほとんどいません。

自家厨房を実現する難しさには、栄誉管理の問題もあります。

高齢者には基礎疾患をもつ人も多く、食事療法が必要な場合も珍しくありません。

これらの栄養管理をするために、介護施設では専門の栄養士が必要となります。

このようなハードルをクリアしなくても済むのが、民間の弁当の配食ビジネスです。

配食先は、介護施設だけでなく、個人の居宅も含まれており、それが高齢者の安否確認という付加価値として重宝されています。

しかも、自宅での食事を望む人には、1日3食のニーズが見込めるわけです。

「ワタミの宅食」などは右肩上がりに業績を伸ばしており、中には、この分野では、フランチャイズ展開をしている企業もあり、給食・配食ビジネスは中小企業や個人でも参入しやすいビジネスとなってきました。

実際、事業再構築補助金に採択された申請者には、街の飲食店の経営者なども含まれています。

すでに飲食業を営んでおり、今後は宅配業務も取り入れていこうというわけです。

開業や転業する場合でも、それほど多額の資金を必要としないことも人気があります。

ただし、課題は営業先である介護施設や個人宅が簡単には見つからないことです。

弁当の宅配サービスの分野だけでも、かなりの数のフランチャイズ本部があり、同じ地域における競合店も多く、営業先の新規開拓は簡単ではありません。

事業再構築補助金には今後の利益率のアップも採択の条件となっており、補助金をもとに事業を始めたとしても、その後の経営努力が求められます。

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