自然災害のリスクに備える

自然災害のリスクに備える

2021年介護保険改正ではすべての介護サービス事業者を対象に感染症や災害が発生しても業務が継続できるように、計画などを策定し、研修や訓練(シミュレーション)を実施することが盛り込まれました。

自然災害の多い国、日本

日本では地震や台風、水害などが発生するたびに自力では避難することができない障がい者や高齢者の痛ましい事故が発生してきました。

2011年に発生した東日本大震災では、全体の死亡者数のうち約6割が高齢者でした。

さらに、災害を免れ、避難所に着いても避難所生活が長くなるにつれ、持病を持っている高齢者は配給食に含まれる塩分による高血圧、硬い床に寝ることによる褥瘡、腰痛発生などというさまざまな困難に直面するのです。

避難所では生活環境が十分に整備されていないため、健康を害し、元の生活に戻ることに困難を生じている方々も少なくありません。

こうした災害に対して特別な配慮が必要な方を「災害弱者」「要援護者」「要配慮者」といいます。

これらの人たちを災害から守ることはいうまでもなく、その後に起こる災害関連死からも守らなければなりません。

地域の介護事業所としてできること

「災害時要援護者の避難支援ガイドライン」を用いて、国は自治体に新たな伝達を行ないました。

例えば、災害時において、高齢者、障害者、乳幼児その他の特に配慮を要する者(災害対策基本法第8条第2項第15号)を要配慮者と呼びますが、在宅高齢者や施設入所者など居場所と介護の有無によって支援内容を変えなければなりません。

また、施設では、特に夜間から未明に災害が発生した場合、限られた人数で対応をせざるをえないのが現状です。

こうした教訓を元に国は、要配慮者を受け入れるための設備、器材、人材を備えた「福祉避難所」を全国各地に指定しました。

介護施設・事業所における業務継続計画(BCP)とは

日本は世界でも有数の自然災害大国といってもいいでしょう。

特にここ数年は台風などの自然災害が増えてきました。

介護サービスは、ライフラインとしての役割も担っており、災害が発生した場合、「建物設備の損壊」「社会インフラの停止」「災害時対応業務の発生による人手不足」などにより、利用者へのサービス提供が困難になると考えられています。

そこで、注目されているのがBCP(ビー・シー・ピー)です。

Business Continuity Plan の略称で、業務継続計画などと訳され東日本大震災をきっかけに必要性が広く認識され始めました。

しかしながら政府が実施した「平成29年度 企業の事業継続及び防災の取組に関する実態調査」では医療・福祉分野のBCP策定率はわずか17.6%にとどまっています。

BCPをはじめとした危機管理ビジネス

2021年の介護保険改正にBCP対応が盛り込まれ、すでに福祉・介護事業者に対するBCP関連ビジネスもスタートし始めました。

BCP策定のためのマニュアル類は、厚生労働省からも膨大な量の資料がWEBを通して入手できますが、先述の通り策定を行なっている介護事業者は多くありません。

介護事業者向けBCPの策定支援コンサルティングとして、計画の策定からシミュレーションまでを含めトータルに支援するビジネスが考えられます。

また、従来行なっている防火訓練等とあわせて行なうこともあるでしょう。

介護事業者は職員の入退職が多いので担当者の定期的な確認や訓練などの年間支援が必要です。

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